平成26年度第2回漢熟検1級、受けてきました



 以前紹介した漢熟検、受けてきました!



 こんにちは。毎日漢和辞典を眺めているぶろです。

 漢検1級に受かって間もないころはそんなことしてませんでした。
 最近ふと気になる漢字があったら漢和辞典で調べ、漢字を学ぶ際に知らない熟語があれば1文字目の漢字を漢和辞典で調べ、という具合です。漢和辞典で字の意味をおさえておくとミスが減って何かとお得ですよ。





 漢熟検とは、漢字習熟度検定の通称です。設立した当初は新漢検とうたって漢検に怒られたから改称をした、という黒歴史を知っている方は多くないでしょう。



 今回私が受けたのは1級。以前は師範という1級よりも上の級がありましたが、どうやら廃止となってしまったようです。


 師範を最後に実施したと思われる平成24年度第1回検定は、過去問が掲載されていた時期に解いてみました。
 そのとき、あわせて解いた1級は合格圏内でしたけど、師範は53点だったような。合格点が90点か80点(設立当初は90点合格だったことを覚えています)なので、師範はだれが受かるのかと考えてしまうむずかしさでした。







 私が向かった会場は都心近くのビルで、受検者は7級が1名、2級が2名、1級が私含め4人の計7人でした。


 1級以外の方は問題用紙も回収、1級は問題用紙を持ち帰ることができます。ちょっとした優越感ですね。

 ちなみに問題用紙の紙は上質です。普通の安い紙ではないです。1級以外も同じ紙質のものを用いているなら、回収して処分されてしまうのはもったいないです。







 問題の内容は、読みも書きも1問1点の計100問。今回の構成は以下のとおり。


 一、書き取り
 二、故事・諺書き取り
 三、誤字訂正
 四、共通漢字
 五、食べ物に関する漢字書き取り *
 六、類義語・対義語書き取り
 七、熟語音読み・一字訓読み
 八、文章題その1
 九、文章題その2
 十、文章題その3


 各項目10問ずつです。
 

 *印は平成26年度第1回と違う出題形式で、検定ごとに変化する模様。
 つまり他の出題形式は次回(平成26年度第3回)でも同じ可能性が高そうです。





 
 早速受けた感想について。

 予想以上にむずかしかったです。
 甘く見ていたと言われれば甘く見ていましたけど、漢検1級の対策は普段以上に行っていました。これといった対策ができないので、漢検1級の演習が効果的かなと。





 前回(平成26年度第1回)の過去問は現在掲載されています。今のうち! → http://www.kanjukuken.jp/

 前回過去問と比較し私なりに難易の傾向を加えておきます。
 

 平成26年度第2回検定での、私の自己採点結果もあわせて載せておきます。






 一、書き取り 7/10  難化

 出だしからものすごくむずかしかったです。熟語がカタカナで表記されていて、その下に熟語の意味が記載されています。それをヒントに漢字で書く問題でした。
 二字熟語が5問、四字熟語が5問。二字熟語の解答は 筌蹄・鞫訊・緬然・穎脱・鬻文 かと思われます。四字熟語は漢検準1級配当1問、1級配当4問の構成。
 第1回検定の問題と構成は、二字熟語は私が耳にしたことのある辞書に載っているもので、四字熟語は準1級配当5問でした。第1回より明らかな難化です。おそろしい…





 二、故事・諺書き取り 10/10  やや難化

 漢検1級の故事・諺を復習していれば前回と大差ない印象です。今回の問題のほうが若干むずかしそうです。漢検1級のほとんど正答者が出なそうな故事・諺ほどひどい問題はなかったですけど、新出問題として出題されたら正答率が低そうな問題もちらほら。
 




 三、誤字訂正 7/10  やや難化

 漢検では準1級でも扱われている誤字訂正、漢検1級を目指したことのある方からするとおなじみの出題項目。漢熟検にもあります。前回の問題よりも聞き慣れない熟語が多く、違っていそうなのはわかりますが訂正しようがなかったです。
 前回の問題「一同に会す」「画竜点晴」「作者妙利に尽きる」など、よくある間違いとして認知されている、あるいは漢検準1級の誤字訂正頻出問題であるという理由で答えやすかったと感じます。
 今回私がわからなかった問題は、「源資→原資」「神厳→森厳」「鈴成り→鈴生り」の3問。いずれも変換でき、訂正する箇所はすべて正しくても語彙力のなさで正答できませんでした。





 四、共通漢字 7/10  前回とほぼ同じ難度
 
 漢検3級などでみられる共通漢字の問題。熟語が5題用意されているので類推しやすく平易そうなのにうまく答えられないむずかしさです。漢字そのもののむずかしさよりも、決定的なヒントがない問題のほうがあきらかにむずかしいです。この出題形式は好きなので、今後もクオリティを保って続けてほしいですね。
 私の答えられなかった問題のひとつ、「璽□・護□・神□・□契・□牒」。国璽の璽が決定的なヒントになりそうでならなかった(この熟語を知らなかった)ので行き詰まってしまいました。





 五、食べ物に関する漢字書き取り 10/10  難化

 今回出題された食べ物は、「とろろいも・うどん・きくらげ・はったいこ・おから・もろみ・するめ・らっきょう・あおさ・ししゃも」。はったいこは漢検1級配当外で当然変換でも出てこず、私が愛用している漢和辞典で「はったい」という読みが記載されていないのでおそろしくむずかしい問題だったと思われます。はったいこのみならず、「とろろいも」「あおさ」を書ける人は少なそうです。たまたま知っていたのでこの項目はおそらく満点。
 前回は塵劫記に記載されている単位を漢字で書く問題(「恒河沙」「阿僧祇」「那由他」など)で、これは小学校や中学校で目にする機会がある熟語ですので、薯蕷芋や石蓴よりも断然答えやすい問題でした。





 六、類義語・対義語 10/10  前回とほぼ同じ難度

 漢検準1級と1級の頻出問題をベースに、うまくバランスをとった問題という印象です。黎明の類義語である昧爽が答えにくい問題でしたが、平成25年度第1回の漢検準1級で、未明の類義語として出題されています。
 前回の検定で難解だったのは、対義語の欄に記載されていた霊犀です。消去法でどの言葉の対義語か判別できるとはいえ、霊犀という熟語を知っていて答えられた方はかなりの実力者でしょう。





 七、熟語音読み・一字訓読み 10/10  易化

 漢検準1級や1級で毎回出題されているものと構成は変わりません。特にむずかしい問題がなく、容易に満点が取れる内容でした。
 前回は 「頃歩」――「頃く」 が満点阻止問題だったかなと感じました。





 八、文章題その1 9/10  前回とほぼ同じ難度

 夏目漱石「作物の批評」より。書き取りが9問、文章中にすべて□となっている箇所があり、そこに当てはまる漢字を書く問題が1問という構成。出典をみてみると、「シタガう」の部分が「遵う」となっています。この字以外で不正解ならかなり厳しいですね… 現代では「従う」しか用いないですし。これを不正解とすると9点。ほかの書き取りは実用的な熟語が多めでした。
 前回の問題も夏目漱石の文章からでした。次回も文章題その1は夏目漱石かも?





 九、文章題その2 9/10  易化

 永井荷風「つゆのあとさき」より。書き取りが8問、読みが2問でした。ここも特に変わった熟語はなかったです。ただ、読みの「喧しい」は、出典だと「かしましい」となっています。私は「やかましい」か「かまびすしい」かのどちらかで、普段使うとしたら「やかましい」なのでこちらで解答しました。これで不正解とされてしまうなら9点。ちなみに、漢検要覧によると喧しいの読みは「やかましい」「かまびすしい」のどちらも掲載されていて、変換もされますが、「かしましい」という記載はなく、かしましいと打ってもこの字は変換されません…
 前回の問題は中江篤介「将来の日本」再版の序より。こちらは常用漢字のみで構成されている熟語はむずかしく、辞書(goo辞書基準です)に掲載されていない熟語も書かせます。ちょっと変わった出題もあるので、公式ページに掲載されている問題をご覧ください。





 十 文章題その3 3/10  難化

 和辻哲郎「古寺巡礼」より。ひと目見て、これは漢熟検1級に落ちたなと感じました。理解できないむずかしさです。
 書き取り10問のうち、辞書に掲載されていない熟語が4問(「罪禍」「焚剥」「奸乱」「持鉢」)もあり、普通の熟語はおそらく2問(「擾乱」「菩薩」)しかなかったです。ここで5点以上を取れる方はほぼ合格でしょう。手も足も出なかったです。対策しようがない…
 前回の問題は梶井基次郎「檸檬」より。書き取り8問はすべて辞書に掲載されている熟語で、こちらは正統派(?)な問題でした。





 全体を通してかなり難化しています。
 自己採点の結果は、正答の可能性があるものをすべて不正解にして82点。80点合格なので字の書き間違いがなければ合格でしょう。











 設立当初の漢熟検1級と現在の漢熟検1級は同じ資格として扱われるのでしょうか。

 もし同じならこれは訴訟問題に発展してもおかしくないはず…






 以前の漢熟検1級は合格基準が高すぎる(90%)とはいえ、漢検2級や漢検準1級の頻出問題、普通に生活していれば必ず聞いたこと見たことのある言葉しかでない問題という印象でした。

 今回の漢熟検1級は漢検1級に匹敵するむずかしさです。今回で比較するなら、普段の漢検1級よりむずかしいと感じます。合格率10%程度の漢検1級のほうが受かりやすそうなイメージすらあります。



 数年前と現在でこんなに差があっちゃだめだろうという気しかしないです。旧1級と現1級とでわけるべきでしょう。

 新しい資格ははやめに受けておくのがいいんですね。















 さて、ここで平成26年度第1回漢熟検の合格率を見てみましょう。
 公式ページからのコピペです。



1級: 33.3% (53.7点)
2級: 35.2% (70.2点)
準2級: 38.4% (66.1点)
3級: 77.7% (79.2点)
4級: 46.6% (73.2点)
5級: 49.0% (67.9点)
6級: 45.4% (68.1点)
7級: 42.8% (67.5点)
8級: 43.1% (63.5点)
9級: 45.1% (60.4点)
10級: 44.1% (62.7点)



 注目するのは1級と2級の合格率と平均点。
 1級の合格率と平均点がおかしなことになっているような。 あれに沿っているとしたら80点以上が1/3もいるテストなのに平均点が53.7点ってそんなわけない(笑)ってなりますよね。正規分布もびっくりな統計結果…





 2級合格者の割合を35%、合格者の点数を80点とし、不合格者の平均点を算出してみると72.6点となりました。不合格者の平均点のほうが高いということになりました。これは矛盾していますので、合格者のうち80点を上回る割合が多いことを示し不合格者の平均点もそう低くない、ということだろうと予測できます。妥当な結果です。


 対して1級のほうはというと、合格者の割合を33.3%(1/3)、合格者の点数を80点とし、不合格者の平均点を算出してみます。すると40.5点という結果でした。
 数点足りなくて惜しくも不合格…という方の割合はそう少なくないと思います。つまり受かりそうな人の平均点は80点程度で残りの方々の平均点が30点台、ということだろうと予測できます。



 合格率33.3%だけを見ると、ちょっと勉強して受かりそうな数字です。といっても明らかにおかしい合格率と平均点のバランスです。信憑性はあまりないにしろ、漢検1級リピーターのような漢字の強豪が合格率を大きく上げて、普通の受検者(?)の合格は絶望的という数値でした。






 以上の結果は第1回のものです。今回受けた第2回は問題が格段にむずかしくなっているので、合格率は大きく下がるでしょう。15%前後だと予想します。
















 漢熟検のむずかしいところは、決定的な対策ができないことでしょう。
 出題範囲に制限はなし、1級に関しては公式問題集すら出版されていません。

 今後漢熟検1級を受けてみよう! という方がいたとしても、これでは自信がなくなって受けるのをやめてしまいそうです。

 さきほどの結果からもし受検したとしても、受かる見込みはほぼないという具合です。














 問題の傾向をさらっとまとめておきますので、漢熟検1級を受ける方は参考にしてください。




 ◎ 基本は漢検準1級・1級の問題

 出題範囲に制限がないとはいえ、だいたいの漢字は漢検準1級・1級配当の字です。頻出問題をしっかりおさえて、たくさんの熟語に触れましょう。効率よく高品質な熟語に出会う方法は私も知りたいくらいです。ただ、漢検1級以上に幅広く知っていないといけないです。



 ◎ 四字熟語は5問出題! それ以外の項目でも役立つかも

 四字熟語を書かせる問題が5問出ます。四字熟語をしっかり復習しておきましょう。故事・諺の項目で出題されることもあります。



 ◎ 漢検で出題されない内容も、目にする機会があればぜひ覚えておきましょう

 今回の「はったいこ」のように、漢検1級配当外から出題されることもあります。こんな字なんだな、程度でいいので意識できるとだいぶ違うと思います。






 ◎ 要するに、漢検の頻出問題はもちろん、狙い目は漢検の新出問題! 転じて意味が変わる熟語もよく問われる

 今回の「昧爽」「池塘春草の夢」は平成25年度の漢検準1級で出題されています。書き取り「筌蹄」は、新出(のはず)で出題されると予想して押さえておいた熟語です。正解できませんでしたが… 「穎脱」は完全征服漢検1級の文章題で出題され(過去に出題されているということ)、以後私の知るここ10年では出題されていません。つまり新出として出された類の問題です。
 「筌蹄」「穎脱」はいずれも中国の書物に典拠があり、意味が転じています。字面から意味を理解しにくい熟語は漢検漢熟検ともに問われやすいのですね。

















 最後に、漢熟検の利点と欠点を私なりにまとめます。





 利点は、解いていておもしろい問題が多いことです。誤字訂正や共通漢字、毎回出題形式が変化する可能性があるのも魅力です(漢検1級の出題形式は変化しないでほしいと思っています)。
 常用漢字、常用外ともに幅広い語彙を問われるので、たくさんの熟語を身につけて受検をし、そこでまた知らない熟語と出会い成長できます。漢検1級より実用的な、普通の辞書に載っていて常用漢字だけど知らない熟語を効率よく学べます。


 欠点は、辞書にない熟語を書き取り問題として出題させることです。私の語彙力が不足していることは認めます。ただ調べても載ってない熟語を書けって無茶にもほどがありませんかね。1問2問ならまだしも、今回はそれが多すぎました。どうあがいても答えられない問題が多いと、受検する気力をそぎかねませんので。
 知名度が低いことも欠点でしょう。1級じゃなきゃだめとは言わないので、この記事を見た方はだれかにすすめてみてください。漢検に匹敵する(上回る?)良質な問題をたくさん提供してくれます。
 受検者が少ないと検定廃止につながってしまいます。せっかく新しくできた漢字の検定なのに、なくなってしまったらもったいないですよね。

















 今回の漢熟検1級に関してはここまで。

 漢熟検は受検する方が少ないので、私も受けましたという方がいらっしゃいましたらご一報くださいませ。





 今後もたまには受けてみようかな、とわくわくさせてくれる楽しい問題でした!

 
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